米国出願の注意点
米国出願は、日本から海外への特許出願件数の最も大きな割合(40%)を占めており(2020年)日本企業にとって最も注視する外国出願の一つでしょう。
米国出願をする場合、パリルートとPCTルートのいずれも利用可能です。
米国出願の一般的な流れ
- 日本国内の特許出願(パリ条約による優先権主張の基礎とする出願)
- 米国特許出願(日本出願から1年以内)
- 実体審査
- 特許査定(Notice of Allowance)
- 特許料納付
- 特許発行
出願の制限
発明が完成された国に最初の出願をすることが求められるという制限が、例えば米国や中国等で実施されています。これによると、合衆国において行われた発明に関し、合衆国における出願から6月が経過するまでは外国に、特許等のための出願等を認めていません(米国特許法(35USC)第184条)。米国に最先に特許出願する、または別途嘆願書を提出する必要あります。米国現地法人との共同出願の際等は注意が必要です。
出願審査請求なしにすべての出願を実体審査
他国のような「出願審査請求」制度は存在しません。わざわざ出願審査請求を行うことなしに、すべての出願について実体要件の審査が行われます。
情報開示陳述(Information Disclosure Statement:IDS)
出願が特許庁に継続している間、発明者、出願人、代理人らは、その出願の特許性の判断に影響を及ぼすと考えられる情報(例えば、類似した発明の先行特許公報など)を入手した場合、その情報を速やかに米国特許庁に提出する義務が、特許証が発行されるまであります。この義務の履行を怠ると、特許取得にアンフェアーであったということで、特許が無効になる可能性があります。フェアーであることを尊重し、アンフェアーには重い制裁が科されることも、米国の法制度の特徴です。
特許庁による特許期間の延長
法で認められた権利の有効期間を実質的に確保できるよう、特許庁が自ら、特許庁の処理の遅れ期間などを考慮して延長期間を計算し、その期間分だけ特許期間が延長されます。