中国出願の注意点
ビジネス上の中国の重要性は年々高まっており、世界中の企業から中国への特許出願が増加しています。中国が、日本企業にとり最も重要な国の一つであることは間違いありません。
中国への特許出願を検討することは非常に重要です。中国出願をする場合、パリルートとPCTルートのいずれもが利用可能です。
特徴
1.国有特許・秘密保持
専利法第四条に下記の規定があります。
専利出願に係る発明創造が国の安全又は重大な利益に関係し、秘密保持の必要がある場合は、国の関連規定に基づき処理します。
また、専利法第十九条には下記の規定があります。
いかなる単位又は個人が国内で完成した発明又は実用新案について、外国で専利を出願する場合、まず国務院専利行政部門に秘密保持審査を受けなければならない。
2.日本の特許制度に類似
日本の特許制度を参考にして成立しており、日本の特許制度に類似しています。審査官は日本又は欧州で研修を受けており、日本、欧州特許庁スタイルの審査の実務を知っています。審査の質は高いといえます。
3.中国語翻訳
出願時に中国語の出願書類一式(中国語明細書全文を含む)の提出が必要です。外国語出願制度はありませんので、日本語の明細書で出願し、中国語明細書を補充することはできません。ただし、国内移行の場合は優先日より30ヶ月以内に、中国国内移行手続きをする必要がありますが、期限延長費を支払うことによって、優先権日より32ヵ月以内に中国国内移行手続きを行うことができるため、それまでに翻訳文を準備することが可能です。(専利実施細則第103条2010年2月1日改正)
制度概論
予備審査
特許出願が審査段階に入った旨の通知があった日から3ヶ月以内に明細書等を自発的に補正することができます。(中国特許法実施細則第51条)
出願公開
優先日(第1国出願日)より1年6ヵ月後が出願内容が公開されます。
出願審査請求
優先日(第1国出願日)より3年以内に行なう必要があります。さもないと、出願が取り下げられたとみなされてしまいます。PCT経由の出願の場合、中国への国内移行を30か月(優先日から2年半)の期限ぎりぎりに行うとその6か月後が審査請求期限日となるため、期限管理に注意が必要です。
実体審査
要件を満たしていると認められた場合、特許査定となり、登録料の納付により、特許が登録されて、特許権が発生します。
拒絶通知への応答
1回目の拒絶通知への応答期間は4ヶ月ですが、1ヶ月又は2ヶ月の延長ができます。
2回目の拒絶通知への応答期間は2ヶ月ですが、1ヶ月又は2ヶ月の延長ができます。
審査官面談は有効で、電話での面談も可能です。減縮補正の助言もあります。
特許査定
特許査定の通知の日から2か月以内に、登録手続を行わなければなりません。登録手続には、特許登録料、公告印刷料および特許付与年の年金納付を伴います。(実施細則第97条)
特許権の存続期間
(中国/国際)出願日より20年目応当日の前日までです。