特許のよくあるご質問
お客様よりよくいただくご質問を掲載しています。ここにないご質問に関しましてはお問い合わせフォームよりお問い合わせくださいませ。
- Q.
- 特許出願から登録にいたるまでの流れについて説明して下さい。
- Q.
- 特許権が成立するための要件について説明して下さい。
- Q.
- 特許出願は弁理士に頼むべきでしょうか?
- Q.
- 特許権取得までの費用の目安?
- Q.
- 特許権取得までの期間の目安?
- Q.
- 既に販売中の商品だが、特許出願は可能か?
- Q.
- ビジネスモデル特許とは?
- Q.
- 社員がした発明を特許出願したあと、その社員が退職したが、発明者は特許の実施が可能か?
- Q.
- 弊社の技術を大手企業に持ち込みたい。ノウハウを知られてしまうので不安だが?
- Q.
- 中国に輸出したいが?
- Q.
- 特許権の存続期間とは?
- Q.
- 特許権の存続期間満了後はどうなるか
- Q.
- 特許権は、出願した内容すべてについて成立しているのでしょうか?
- Q.
- 特許権が成立すると、どんなことができるようになるのですか?
- Q.
- 自社製品に似たものが他社から特許出願されているようです。今後の対応はどうしたらよいのでしょうか?
- Q.
- 自社製品が他社特許権を侵害するとして警告を受けました。
- Q.
- 自社製品が他社特許権を侵害している可能性が高い
- Q.特許出願から登録にいたるまでの流れについて説明して下さい。
- A.
-
方式審査
出願書類が特許庁に提出されると、それが特許法などで定める手続的・形式的要件を満たしているか審査され、所定の要件にしたがっていない手続については手続の補正が命じられ、また、却下処分がなされることがあります。
出願公開
出願日から1年6カ月経過したときは、すでに特許掲載公報の発行がされているものを除き、特許出願を特許公報に掲載することにより出願公開されます。
これは、発明を早期に公開することによって、第三者の研究・投資の重複を防止し、社会のさらなる技術発展を促す趣旨のものです。
出願公開の効果として、出願者は、書面によって警告したときは、警告から設定登録までの間に業としてその発明を実施した者に対し、特許権の設定登録後に、実施料相当額の補償金請求権の行使ができます。
また、警告をしなくても、公開された発明であることを知って業としてその実施をした者に対しては、同様に請求できます。
審査請求
たとえば、他人の登録を阻止する目的の防衛出願については、自ら出願した特許が登録されなくても、他人の登録が阻止できれば目的を達します。また、技術が陳腐化して特許を取得する必要がなくなってしまうものもあります。
このような出願を審査せずにすめば審査件数が減少し、審査処理が迅速になります。そこで、すべての出願を審査するのではなく、審査請求があったものだけを審査するという審査請求制度が採用されています。
出願日から3年以内(2001年9月30日以前の出願については7年以内)に審査請求がない場合には出願は取り下げられたものとみなされます。なお、審査請求は、出願人でなくても誰でもこれを行なえます。審査は審査請求順になされますが、例外として、早期審査制度があります。
実体審査
審査請求された出願について、審査官が審査をして、拒絶理由があると判断した場合、ただちに出願を拒絶する査定をするのではなく、出願人に拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることになっています。
これに対し、出願人は意見書を提出して拒絶理由に反論をするのか、拒絶理由を解消するため、意見書と共に、特許請求の範囲の減縮・削除、または誤記訂正の補正などをして対処します。
特許査定
審査官は、拒絶理由が見つからなかったときや拒絶理由が解消したと認められるときには特許すべき旨の特許査定をします。
特許査定謄本が出願人に送達された日から30日以内に特許料が納付されると、特許権の設定登録がなされ、特許公報に掲載されます。
拒絶査定など
これに対し、審査官が出願人の反論、補正などによっても拒絶理由が解消されないと判断したときは拒絶査定をします。
出願人は、拒絶査定に不服がある場合は、拒絶査定謄本の送達の日から30日以内に拒絶査定不服審判を請求できます。
この審判でも拒絶査定が支持された場合には、請求不成立の審決が出されます。
これに不服のある出願人は、特許庁長官を被告として、知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起できます。
逆に、審判請求に理由があり、拒絶理由を発見できない場合には、先の拒絶査定を取り消して特許をすべき旨の特許審決が出されます。
- Q.特許権が成立するための要件について説明して下さい。
- A.
-
発明が、特許法による保護に値するものとして、特許を受けるためには、以下の特許要件を満たさなければなりません。
特許法の目的は「産業の発達」にあるので、産業上利用できることが必要です。「産業」とは工業、農林水産業などの生産業に限定されず、経済市場と関わりがあるものを広く含みます。
また、理論上・実験上のものにすぎず、実際に実施できないものは「利用可能性」を欠き、特許されません。既存の技術に特許権という独占権を与えると、第三者の自由な経済活動を妨げ、産業の発達にとってマイナスとなります。そこでつぎの3つの場合は、新規性がないものとして原則として特許されません。
特許出願前に国内または外国で、
- 公然と知られた発明
- 公然と実施された発明
- 頒布された刊行物に記載されたり、インターネットで公表された発明
しかし、例外的に
- A. 特許を受ける権利のある者が試験を行なったり、刊行物、インターネットを通じて発表したり、または特許庁長官が指定する学術団体の研究集会で文書で発表したことによって新規性を喪失した発明
- B.特許を受ける権利のある者の意に反して新規性を喪失した発明
- C.特許を受ける権利のある者が一定の博覧会に出品することにより新規性を喪失した発明
については、6ケ月以内に特許出願をした場合には、新規性および進歩性の適用について、新規性の喪失に至らなかったものとみなして、救済を図っています。
ただし、A,Bの場合には、出願にあたって所定の手続が必要とされています。特許出願前に、その分野の平均的技術者が既存の技術から容易に発明ができた「進歩性のない発明」には、特許は付与されません。
進歩性のない発明には特許権という独占権を与えるだけの価値がなく、また、独占権を与えると第三者の自由な経済活動を妨げるからです。
進歩性の有無は、一般的には発明の目的(課題)、構成および効果から判断します。
たとえば、公知技術を寄せ集めただけのものや、他の技術へ転用したにすぎないものなど、その分野の技術者が効果を容易に予測できる場合には、進歩性は認められません。先願が公開された場合、その先願の出願当初の明細書または図面に記載されている発明と後願の発明とが同一のときには、出願人または発明者が同一の場合を除いて、後願の発明には特許は付与されません。
先願の特許請求の範囲に記載されていなくても、先願の明細書や図面に記載された発明は、原則としていずれ公開されるので、それと同一の後願は社会に何ら新しい技術を提供したことにならないからです。不登録事由
公序良俗または公衆衛生を害するおそれのある発明は特許を受けることができません。
その教科書事例としては、「紙幣偽造機」や「阿片吸引器」などがあげられています。
- Q.特許出願は弁理士に頼むべきでしょうか?
- A.
-
はい、それをお勧めします。
出願から特許成立までには、書類作成・出願手続・方式補正・拒絶理由に対する意見書・印紙代の納付など、様々な手続があります。各段階において適切な対応を行い、有効な特許権を得るには、やはり特許制度に関して知識と経験のある弁理士に依頼した方がよいと思います。
- Q.特許権取得までの費用の目安?
- A.
-
弁理士に払う費用と特許庁に払う費用と合わせ、出願時の総費用は35万円~、特許権取得までは、出願後に発生する手続の有無と種類により、さらに30万円~70万円程度はかかるとお考え下さい。
- Q.特許権取得までの期間の目安?
- A.
-
発明の技術分野によって、早い場合は1年半から2年程度、遅い場合には3年から5年程度かかる場合もあります。権利化を急ぐ場合は、早期審査制度を利用するのも一案です。
- Q.既に販売中の商品だが、特許出願は可能か?
- A.
-
販売開始後に出願しても特許は取得できませんのが一般的です。商品が販売された場合、その商品の技術内容は公開された、すなわち発明の新規性を喪失したことになるからです。ただし、商品を販売してもその技術内容が解らないような場合、特許が取れることもあります。
- Q.ビジネスモデル特許とは?
- A.
-
一般に”ビジネスモデル”という用語は、ビジネスのやり方や収益のモデルといったことを指す用語として用いられています。しかし、特許法における「発明」は、「自然法則を利用したもの」となっていて、ビジネスのやり方や収益のモデルそのものは、自然法則を利用していないとして特許性が否定されます。
ただし、特許の取り方を工夫することによって、間接的にビジネスのやり方について特許を取得することは可能です。このような「発明の変換」も、弁理士の仕事です。
- Q.社員がした発明を特許出願したあと、その社員が退職したが、発明者は特許の実施が可能か?
- A.
-
貴社が特許権を取得すれば、その社員が次に勤めた会社では、発明者といえども、貴社の同意を得なければ実施ができません。
- Q.弊社の技術を大手企業に持ち込みたい。ノウハウを知られてしまうので不安だが?
- A.
-
技術ノウハウを利用されないためにも、大手企業に持ち込む前に、特許出願をすることが重要です。特許出願は、将来特許権を取得する可能性があるため、強力な営業ツールとなります。大企業による模倣を防止し、有利な契約を結べる可能性があります。
- Q.中国に輸出したいが?
- A.
-
日本で取得した特許は、日本国内でしか効力がありません。中国で、貴社製品を保護するには、中国で特許出願を行う必要があります。すでに日本で特許出願をしている場合、1年以内の出願が好ましいほか、出願から1年半後に公開された後に外国で出願した場合、殆どの外国で権利化ができない可能性が大きいので注意が必要です。
- Q.特許権の存続期間とは?
- A.
-
権利が存続する期間のことをいい、特許権の場合は出願日から20年で終了すると定められています。
- Q.特許権の存続期間満了後はどうなるか
- A.
-
万人がその特許権にかかる技術を利用することができるようになります。
- Q.特許権は、出願した内容すべてについて成立しているのでしょうか?
- A.
-
いいえ、出願した内容全てのうち、基本的には、特許掲載公報において、【特許請求の範囲】という欄に記載された事項が成立した特許権の権利内容と考えられます。その他の箇所に記載されている内容は特許権の権利範囲に含まれないことに注意してください。その他の注意点も多くあり、権利内容の確定には高度な専門知識が必要です。
- Q.特許権が成立すると、どんなことができるようになるのですか?
- A.
-
特許権が付与された発明を、権利存続期間内、自己が独占して実施をすることができます。自分が発明を実施するほか、他人に実施を許諾してライセンス収入を得ることや、自己の権利を侵害する他人に対して差止請求、損害賠償の請求などができます。
- Q.自社製品に似たものが他社から特許出願されているようです。今後の対応はどうしたらよいのでしょうか?
- A.
-
まず、権利が成立しているのか否かを把握しましょう。特許出願の経過情報は「特許電子図書館(IPDL)」の「経過情報検索→番号照会」の画面で出願公開公報の番号などを入力すれば情報が得られます。
権利が成立していない場合、その出願内容が過去の文献(その出願の出願日より前の文献、特許公開公報・実用新案公報・専門技術雑誌など)に掲載されていないかを調査します。もし文献を発見したら、情報提供(文献を特許庁へ提出し、審査に役立ててもらう制度です)をします。
権利が成立している場合は、上述のような文献があるか調査をし、もし文献を発見したら、無効審判を検討します。また、ライセンス交渉も考えられます。
さらに、設計変更をすることも考えられますが、この場合、設計変更が本当に権利侵害を回避できるものなのか、まず弁理士に相談することをお勧めします。
- Q.自社製品が他社特許権を侵害するとして警告を受けました。
- A.
-
まずは他社の特許権の権利範囲を把握することが必要となります。
特許掲載公報において、【特許請求の範囲】に記載された事項が特許権の権利範囲です。その他の箇所に記載されている内容は特許権の権利範囲に含まれないことに注意してください。
自社製品が特許権を侵害しているのか否かの判断は、審査の経過など様々な事情をもとにする必要がありますので、弁理士に依頼することをお勧めします。
- Q.自社製品が他社特許権を侵害している可能性が高い
- A.
-
とり得る対応としては、次のようなことが考えられます。
- 先行技術文献調査
他社特許権にかかる発明が、出願日以前に、特許公開公報や実用新案公報、専門技術雑誌などの先行技術文献で公になっていないかを調査します。出願以前に公になっていた発明の場合、その特許権は無効理由を有していることになります。 - 無効審判
無効審判を請求することができます。調査で得た文献を引用し、他社特許がその成立要件を備えていない旨を書いて(新規性がないとか、進歩性がないなどと主張する)特許庁へ書面を提出します。 - 先使用権の主張
もし他社特許の出願日以前から貴社が自社製品を製造等していた場合、先使用権を主張できる可能性があります。この場合、実施料の支払いは不要ですが、出願日以前から貴社が自社製品を製造等していたことを立証する必要があります。
- 先行技術文献調査