実用新案とは

実用新案法で保護される考案は、「物品の形状、構造、組み合わせにかかる考案」です。

実際の登録の要件としての新規性、進歩性等の越えるべきハードルの種類は、特許とほぼ同じです。従って、対象が限定されているのみで、審査で要求される登録要件のレベルは特許と実質的に大差はありません。

実用新案の保護対象

実用新案の登録要件は、以下の通りで、特許とほぼ同じであるが、進歩性については、特許よりも要求されるレベルが低いです。

  1. 新規性を有すること(実3条1項)
  2. 進歩性を有すること(実3条2項)
  3. 拡大先願の規定に該当しないこと(実3条の2)
  4. 最先の出願であること(実7条)
  5. 公序良俗違反でないこと(実4条)

上記にも書いた通り実用新案制度の一番の特徴は進歩性に関してゆるいところです。実用新案制度は平成6年度の改正で、現在は無審査登録制度になっており、無審査で登録になることから、考案(アイデア)があれば過去にすでに存在したものでも登録できます。

かつては特許の場合と同じように厳正な登録用件の審査を行ってから登録する審査主義を採用していましたが、現在は改正により無審査登録主義となっております。従って、現在の特許庁の実務では、出願後2.5月で登録になります。

特許が審査請求から約2年以上かかって初めて拒絶理由通知が出ることを考慮すれば非常に早く登録を得ることができるわけです。

ただし権利者が独占できる技術の範囲は実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて定められ、権利侵害に対しては、特許と同様に差止請求や損害賠償請求ができるほか、侵害者には刑事罰が課せられます。

実用新案の利用方法/出願手続き

実用新案を利用するためには所定の様式に沿った出願手続きが必要です。基本的には特許出願とほぼ同様です。具体的には、願書、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面、要約書を用意し特許庁に提出します。

ただ特許のページにも記載したとおり、上記の書面の準備には相当の専門知識が必要になります。個人でも用意することが可能ですが、以下のような補正命令が出た場合などの対処に困窮してしまいます。

  1. 物品の形状、構造または組合せに係るものでないとき
  2. 公序良俗に反するとき
  3. 出願の単一性を満たさないとき
  4. 明細書、実用新案登録請求の範囲、図面に必要事項が記載されておらず、または著しく不明確なとき

上記の事由に対して補正を行う場合など弁理士などの専門家を利用することをお勧めします。

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